これで快適!高齢者のリビング・居室 バリアフリーリフォームのポイントと費用目安
高齢者が安全・快適に過ごせるリビング・居室にするために
ご自宅で高齢の親御様が過ごされる時間の多くは、おそらくリビングや居室ではないでしょうか。家族が集まるリビングやくつろぐ居室は、安全で快適な空間であることが非常に重要です。しかし、実はこの場所にも、高齢の方にとって危険なポイントが潜んでいることがあります。例えば、ちょっとした段差につまずいたり、立ち上がる際にバランスを崩したり、あるいは暗い場所で物につまずくといったリスクです。
これらのリスクを減らし、高齢の親御様が安心して自宅で過ごせるようにするためには、リビング・居室のバリアフリーリフォームを検討することが有効です。この記事では、リビング・居室のバリアフリー化で具体的にどのようなことができるのか、その効果や費用、利用できる制度について分かりやすくご説明します。
リビング・居室のバリアフリーリフォーム具体的な対策と効果
リビングや居室で行えるバリアフリーリフォームには、いくつかの具体的な対策があります。それぞれの対策と、それによって得られる効果を見ていきましょう。
1. 床の段差解消と滑り止め
- 対策: 敷居の段差をなくす、カーペットやラグの端を固定する、フローリングを滑りにくい素材に変更する、滑り止め加工を施すなど。
- 効果: つまずきによる転倒リスクを大幅に減らすことができます。特に、部屋の出入り口や部屋の中の小さな段差は、高齢者にとって非常に危険です。滑りにくい床材にすることで、歩行中の転倒も防ぎやすくなります。
2. 手すりの設置
- 対策: ソファや椅子の近く、立ち上がりの動作が多い場所、部屋の移動経路となる壁などに手すりを設置する。
- 効果: 立ち座りの動作や、室内での移動をサポートし、バランスを崩した際の支えとなります。トイレや浴室だけでなく、リビングや居室にも手すりがあると、日常の動作が格段に楽になり、安心感が増します。
3. 扉の変更
- 対策: 開閉に力が必要な開き戸を引き戸やアコーディオンカーテンに変更する、ドアノブを握りやすいレバーハンドルに変更する。
- 効果: 扉の開閉が楽になり、車椅子での移動や、介助しながらの出入りがスムーズになります。廊下からリビングへの出入りなど、頻繁に使う場所で効果を発揮します。
4. 照明の改善
- 対策: 部屋全体の明るさを確保する、手元や足元を照らす補助照明を設置する、スイッチを大きく見やすいものに変更する、人感センサー付き照明を導入する。
- 効果: 明るさを増すことで視界が確保され、つまずきや衝突を防ぎやすくなります。特に夜間の移動時に安全性が高まります。スイッチの変更やセンサー付き照明は、操作の手間を減らし、消し忘れを防ぐ効果もあります。
5. コンセント・スイッチの位置変更
- 対策: 高齢者の体の状態に合わせて、低い位置にあるコンセントや高い位置にあるスイッチを、楽な姿勢で操作できる高さに変更する。
- 効果: 無理な体勢での作業を減らし、転倒リスクを軽減します。日常的な電気製品の使用や照明の点灯が容易になります。
リビング・居室のバリアフリーリフォーム 費用と工期目安
リビング・居室のバリアフリーリフォームにかかる費用や工期は、リフォームの内容や規模によって大きく異なります。あくまで一般的な目安としてご参照ください。
- 手すりの設置: 箇所数や種類によりますが、1箇所あたり数千円~数万円程度。比較的短期間(半日~1日程度)で完了することが多いです。
- 床の段差解消・滑り止め加工: 段差解消は箇所数や規模によりますが、数万円~10万円程度。床材全体の変更は部屋の広さによりますが、数十万円程度かかることもあります。工期は内容によりますが、数日かかる場合もあります。
- 扉の変更(開き戸→引き戸など): 1箇所あたり10万円~30万円程度。壁の工事なども伴うため、数日かかることが多いです。
- 照明・コンセント・スイッチの変更: 箇所数や内容によりますが、数万円~10万円程度。電気工事を伴うため、内容によっては1日以上かかる場合もあります。
複数の箇所をまとめてリフォームする場合や、部屋全体を大規模に改修する場合は、費用や工期がさらにかかる可能性があります。正確な費用や工期を知るためには、複数の業者に見積もりを依頼することが大切です。
活用できる公的支援制度
バリアフリーリフォームには、費用負担を軽減するための公的な支援制度があります。主なものとして「介護保険」と「自治体の補助金制度」があります。
- 介護保険: 要支援または要介護の認定を受けている方が対象となる場合があります。自宅での生活を安全に行うためのバリアフリーリフォーム(手すり設置、段差解消、滑り止め、扉の変更など)にかかる費用の一部が支給される可能性があります。ただし、支給には上限額があり、事前の申請が必要です。
- 自治体の補助金制度: お住まいの市区町村によっては、独自のバリアフリーリフォームに関する補助金制度を設けている場合があります。対象となる工事や要件は自治体によって異なるため、お住まいの自治体の窓口やホームページで確認することをおすすめします。
これらの制度を利用することで、リフォーム費用の負担を軽減できる可能性があります。制度の利用を検討されている場合は、必ず工事を行う前に担当のケアマネジャー(介護保険の場合)や自治体の担当部署にご相談ください。
信頼できるリフォーム業者の選び方
バリアフリーリフォームは、高齢者の安全に直結するため、適切な知識と経験を持つ業者を選ぶことが重要です。以下の点を参考に、信頼できる業者を選びましょう。
- バリアフリーリフォームの実績: 高齢者向けのリフォーム経験が豊富か確認しましょう。事例を多く持っている業者は、様々な状況に対応できる知識があると考えられます。
- 丁寧なヒアリングと提案: 親御様の体の状態や生活スタイルをしっかりとヒアリングし、最適なリフォームプランを提案してくれるか。一方的な提案ではなく、寄り添って考えてくれる姿勢が大切です。
- 明確な見積もり: 工事内容、費用、工期が明確で、分かりやすい見積もりを提示してくれるか確認しましょう。不明な点があれば遠慮なく質問し、丁寧に答えてくれる業者を選びましょう。
- 複数の業者を比較検討: 複数の業者から見積もりを取り、内容や費用を比較検討することをおすすめします。相場感を把握し、自分たちに合った業者を見つけることができます。
まとめ
高齢の親御様が安全で快適に自宅で過ごすためには、リビング・居室のバリアフリーリフォームが有効な手段の一つです。小さな段差の解消、手すりの設置、扉の変更、照明の改善など、様々な対策があります。
リフォームを検討する際は、親御様の状況や生活スタイルに合わせて、どのような対策が必要かを具体的に考えてみましょう。費用や工期は内容によって異なりますが、介護保険や自治体の補助金制度を活用できる可能性もあります。
ご家族だけですべてを決めるのが難しいと感じる場合は、バリアフリーリフォームの実績が豊富な専門業者に相談してみることをお勧めします。プロの視点からのアドバイスや、具体的なプランの提案を受けることで、より安心できるリフォームを実現できるでしょう。この記事が、親御様のための安全で快適なリビング・居室づくりを考える一助となれば幸いです。