バリアフリー快適リフォーム

高齢者の転倒リスクを減らす床材選びとリフォーム費用

Tags: バリアフリーリフォーム, 高齢者, 転倒防止, 床材, 費用, 補助金, 介護保険

親御さんがご自宅で安全に暮らすために、バリアフリーリフォームをご検討されている方も多いかと存じます。手すりの設置や段差解消といったリフォームに加え、意外に見落とされがちなのが「床材」です。実は、自宅内での高齢者の転倒事故は非常に多く、その原因の一つに床材が関係していることがあります。

この記事では、高齢者の安全確保の観点から、どのような床材を選べば良いのか、具体的なリフォーム内容、費用目安、そして利用できる公的支援制度について分かりやすくご説明します。大切な親御さんの安全な暮らしのために、ぜひ最後までご覧ください。

なぜ高齢者の転倒防止に床材が重要なのか

高齢になると、筋力やバランス感覚が衰え、小さなつまづきや滑りでも転倒しやすくなります。また、一度転倒すると骨折などの大きな怪我につながりやすく、寝たきりの原因となることも少なくありません。

ご自宅の中で、高齢者が転倒しやすい場所として、廊下、階段、浴室、玄関などが挙げられますが、リビングや寝室など、普段過ごす場所でも転倒は起こり得ます。

ここで重要になるのが「床材」です。滑りやすい床材、硬すぎる床材、わずかな段差のある床材は、転倒リスクを著しく高めます。安全な床材を選ぶことは、手すりの設置や段差解消と同じくらい、あるいはそれ以上に重要なバリアフリー対策と言えるでしょう。

転倒防止に効果的な床材の種類と選び方

転倒防止の観点から床材を選ぶ際は、主に以下の点を考慮します。

これらの点を踏まえ、転倒防止に適した代表的な床材をいくつかご紹介します。

1. クッションフロア

クッションフロアは、ビニール素材のシート状の床材で、適度なクッション性があり、表面が滑りにくく加工されているものが多いです。耐水性があるため、水回りのリフォームにも適しています。費用も比較的安価で施工しやすいのが特徴です。

2. コルクタイル

コルクは天然素材で、独特の弾力性と温かみがあります。表面は滑りにくく、クッション性も高いため、転倒時の衝撃を和らげる効果が期待できます。断熱性・防音性にも優れています。

3. フロアタイル/Pタイル

硬質塩ビ系のタイル状床材です。耐久性が高く傷つきにくいのが特徴ですが、表面は滑りやすいものもあります。最近では、表面に凹凸をつけたり、滑り止め加工を施したりしたタイプも増えています。クッション性はありません。

4. カーペット/タイルカーペット

カーペット類は、素材そのものが柔らかくクッション性が非常に高いのが最大のメリットです。転倒時の衝撃を大きく和らげることができます。ただし、毛足が長すぎるとつまずきの原因になったり、車椅子での移動が困難になったりすることもあるため、毛足の短いタイプや、段差ができにくいタイルカーペットを選ぶのが良いでしょう。

どの床材を選ぶかは、使用する部屋の用途や、親御さんの状態、ご予算によって異なります。これらの情報を参考に、最適な床材を検討してみてください。

場所別の床材リフォームポイント

ご自宅の中でも、場所によって適した床材や注意すべきポイントが異なります。

床材リフォームにかかる費用目安と工期

床材のリフォーム費用は、選ぶ床材の種類、リフォームする面積、既存の床材の状態(重ね貼りか撤去かなど)、部屋の形状によって大きく異なります。一般的な目安としては、以下のようになります。

これに加え、既存床材の撤去費用、下地調整費用、廃材処分費用などが別途かかる場合があります。例えば、リビング10畳(約16平方メートル)の床材リフォームの場合、材料費と工事費込みで15万円 ~ 30万円以上を目安として考えると良いでしょう。

工期についても、リフォームする場所や面積によりますが、1部屋であれば1日 ~ 2日程度で完了することが多いです。家全体の床材を張り替える場合は、数日かかることもあります。

利用できる公的支援制度(補助金・介護保険)

高齢者の安全のためのバリアフリーリフォームには、国や自治体の補助金制度や、介護保険の住宅改修費助成制度が利用できる場合があります。

介護保険の住宅改修費

要支援または要介護認定を受けている方が対象となる制度です。自宅での生活を継続するために必要な住宅改修に対して、原則として費用の上限20万円まで、自己負担割合(通常1割)を除いた額が支給されます。

床材の変更で対象となるのは、主に「滑りにくい床材への変更」です。例えば、滑りやすいフローリングを滑りにくいクッションフロアやコルクに変更する、和室の畳を滑りにくいフローリングに変更するなどが該当する場合があります。ただし、単にデザインを理由とした変更や、既に十分安全な状態からの変更は対象外です。

利用には、事前にケアマネジャーや地域包括支援センターに相談し、必要な手続き(申請、理由書の作成、工事前後の写真撮影など)を行う必要があります。工事着工後の申請は認められないため、必ず事前に確認してください。

自治体の補助金制度

多くの自治体が、高齢者や障がい者のためのバリアフリーリフォームに対して独自の補助金制度を設けています。介護保険の住宅改修と併用できる場合や、所得制限がある場合など、制度内容は自治体によって異なります。お住まいの市区町村の窓口やホームページで確認してみましょう。

これらの制度を賢く活用することで、リフォーム費用の負担を軽減することができます。

信頼できるリフォーム業者の選び方

床材リフォームを含むバリアフリーリフォームを成功させるためには、信頼できる業者選びが非常に重要です。以下の点を参考に業者を選んでみてください。

まとめ

高齢者の転倒事故は、ご自宅の床材を見直すことでリスクを大きく減らすことができます。滑りにくく、適度なクッション性のある床材を選ぶことは、親御さんがいつまでも安全に、そして快適に自宅で過ごすために非常に有効な手段です。

クッションフロア、コルクタイル、滑り止め加工のあるフロアタイル、毛足の短いカーペットなど、様々な床材がありますので、部屋の用途や親御さんの状態に合わせて検討してみてください。費用については、リフォーム箇所や選ぶ素材によって異なりますが、介護保険の住宅改修費助成や自治体の補助金制度を活用することで、負担を軽減できる可能性があります。

まずは、信頼できるリフォーム業者に相談し、親御さんに最適な床材について具体的な提案を受けてみることから始めてみてはいかがでしょうか。専門家のアドバイスを得ながら、大切なご家族の安全な暮らしを実現してください。